仕訳自動化で消えない作業。ルールの保守と例外の担い手
執筆 AX BPO編集部監修 黒﨑悠一
仕訳の自動化で入力が減っても、推測された勘定科目と税区分の確認と修正、自動仕訳のルールの保守、月次の締めといった作業は社内に残ります。自動化の仕組みからこぼれる判断と例外は、専任スタッフが処理します。仕訳の作成を業務ごと弊社に預ける場合の費用は、月額10万円から(目安)です。月額には設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含み、業務の内容と件数により異なります。
自動仕訳で不要になる入力作業
弊社が読んだ10本の解説記事の多くは、明細を取り込み、ルールや学習で勘定科目を推測し、確認して登録するという手順を書いています。効果の記述のあと、最後は経理の担当者が確かめる、という一文で閉じられることが一般的です。
金融庁によると、平成30年6月1日から電子決済等代行業に関する新しい制度が開始され、銀行法 第2条は、預金者等の委託を受けて口座に係る情報を取得し、これを提供する行為を電子決済等代行業に当たるとしています。全国銀行協会の2017年7月13日の報告書は、オープンAPIを他の事業者等とのオープンネットワーク上でのセキュアなデータ連携を可能とする技術と書いています。会計ソフトが銀行口座の明細を取り込む連携の多くは、こうした制度と技術の上で動いています。
解説記事10本は弊社が読んだ範囲の話です。電子決済等代行業の制度は金融庁「電子決済等代行業を営む皆様へ」、オープンAPIの記述は全国銀行協会「オープンAPIのあり方に関する検討会報告書について」によります。
連携の認証の期限が切れることや、銀行側の都合で取得できないことで、取り込みが止まることがあります。同じ明細を二度取り込むことも起こりえます。口座の残高と帳簿の残高を照らして、取り込み漏れや二重の登録がないかを確かめる作業は、自動仕訳を入れても残ります。未処理の明細を残さず、残高を照らして直した仕訳を確定する月次の締めも、社内に残る作業です。入金と売掛金の照合については入金消込の自動化。照合できない例外入金の処理と防ぎ方で詳しく触れています。
勘定科目と税区分の確認と修正
機械は過去の仕訳や登録したルールから勘定科目と税区分の候補を出せます。それを確定するのは経理の判断です。
国税庁のタックスアンサー No.6497は、仕入税額控除の適用を受けるためには法定事項が記載された帳簿および請求書等の保存が要件だと書いています。課税仕入れの帳簿の記載事項は、相手方の氏名または名称、年月日、内容、支払対価の額です。消費税等の税率が軽減税率8パーセントと標準税率10パーセントの複数税率であるため、税率ごとに区分して記帳するなどの区分経理を行う必要があります。
自動仕訳が当てた取引先名や摘要は、帳簿の記載になります。税区分の当て違いは区分経理に出ます。仕入税額控除の扱いや税区分の判断をどう処理するかは、貴社と顧問の税理士が決めることです。
自動で入った仕訳を後から直すときに、誰がいつ何を直したかを残しておくと、帳簿の訂正の経緯を後から説明しやすくなります。国税庁の「優良な電子帳簿の要件」は、要件として訂正削除履歴の保存等、帳簿間の相互関連性、検索機能の確保を挙げます。国税庁の「電子帳簿保存法の概要」は、訂正・削除の履歴が残る等の優良な電子帳簿の要件を満たして備付け・保存を行い、あらかじめ届出書を出していれば過少申告加算税が5%軽減される制度があると書いています。加算税の軽減は、優良な電子帳簿の要件を満たして備付け・保存を行い、あらかじめ届出書を出した場合の制度で、すべての会社に求められるものではありません。
国税庁の記述は No.6497、No.6498、および「優良な電子帳簿の要件」「電子帳簿保存法の概要」によるものです。
古くなった自動仕訳ルールの保守
取引先や取引の内容が変わると、前に作った自動仕訳のルールが合わなくなります。合わなくなったルールは、直すまで同じ誤りを毎月くり返します。ルールが増えると、どれが何のためのルールかが分かる人が限られてきます。
取引先名の揺れと未登録の処理
同じ取引先からの明細でも、略称やカナ、別の表記で届くことがあります。これを取引先の登録と照らして、同じ相手にまとめる名寄せの作業が残ります。表記の揺れや、取引先の取り違えは、そのまま帳簿の相手方の氏名または名称の記載に出ます。
登録の無い取引先や初めての取引の場合は、ルールが無いため、勘定科目と税区分を人が決め、取引先を登録します。明細の1行に当たる請求書や領収書があるか、金額と日付が合うかという証憑との突き合わせも残ります。証憑の読み取りに伴う作業は請求書の読み取りAI導入後に残る確認作業にまとめています。
経理が休むときの引き継ぎと代わり
経理が1〜2人の会社では、明細の取り込みの確認や、勘定科目と税区分の確認と修正、ルールの保守を同じ人が持つ傾向にあります。その人が休むと、月末・月初の締めが止まりやすくなります。
自動仕訳のルールの中身と、例外をどう処理したかの判断が、その人の頭の中にしかないことがあります。辞めるときにルールの一覧だけを引き継いでも、なぜそのルールにしたか、例外をどう処理してきたかが分からないと、後から直すことが困難になります。代わりの人を決めておく、ルールに作った理由を残しておく、例外の処理の決まりを文書にしておく、といった方法があります。
確認と保守を誰が持つかで比べる4つの方法
月の仕訳の件数や月末・月初への偏り、取引先の数、銀行口座・クレジットカードの数、紙の請求書や領収書の割合を見て、社内の体制に合う方法を選びます。推測の確認とルールの保守ができる人が社内にいるか、その人が休んだときに代われる人がいるかも見る点になります。Excelの転記で済むものはExcelデータ転記の自動化。例外は誰が直すかで比較しています。
どの方法を選んでも、推測の確認とルールの保守と例外は残ります。
| 方式 | 仕訳の起こし方 | 確認とルールの保守を誰が持つか | 社内に残る作業 | 合う場合 |
|---|---|---|---|---|
| 手入力のまま | 担当者が明細と証憑を見て入力する | 経理の担当者 | 入力・確認・判断のすべて | 仕訳の件数が少なく、取引先が決まっている |
| 会計ソフトの自動仕訳 | 取り込んだ明細にルールや学習で科目の候補を当てる | 経理の担当者 | 候補の確認と修正、ルールの保守、取り込みの確認、例外の仕訳 | 今の会計ソフトに自動仕訳があり、担当者が確認とルールの手入れの時間を取れる |
| 生成AIなどで自社で組む | 自社で作った手順が明細や証憑から仕訳の案を作る | 経理の担当者と、手順を作った人 | 案の確認と修正、例外の仕訳、明細や証憑の形が変わったときの手順の直し | 社内に手順を作って直せる人がいる |
| 業務ごと預ける | 弊社がAIエージェント・OCRなどを組み合わせて仕訳を起こし、確認して登録する | 弊社(最終可否の判断は貴社) | 情報の連携と、処理の方針などの最終可否の判断 | 確認やルールの保守、例外の仕訳を見る人が社内にいない |
この表は弊社の整理で、合う場合は一般の傾向です。税理士事務所などに記帳を頼む形もあり、どこまで受け持つかは頼む先ごとに違うため、契約の前に確かめます。
業務ごと預けて自動化する方法
仕訳を自動化したいが、自動仕訳の結果を確かめてルールを直す人が社内にいない会社が業務ごと外に預ける場合、弊社はAIエージェント・OCR・RPA・iPaaS・GAS・VBA・Pythonを組み合わせて設計・構築し、例外処理・目視確認・修正・マスタ更新まで引き受けます。推測された勘定科目と税区分の確認、ルールの保守、例外の仕訳は弊社が持ち、貴社の作業は今のやり方を見せることとテスト運用の結果を確かめることの2つで、情報の連携と最終可否の判断は貴社に残ります。費用は月額のみで設計・構築から運用保守までを含みます。
仕訳の作成を業務ごとお預かりし、出力は確認済みで登録した会計ソフトへの仕訳としてお返しします。どの技術を使うかは業務ごとに弊社が組み合わせるため、貴社が決める必要はありません。推測された勘定科目と税区分の確認と修正、自動仕訳のルールの保守、取引先名の名寄せ、登録の無い取引先の例外の処理、取引先の登録の更新を、預けた業務の運用として弊社が持ちます。勘定科目や税区分の決まりといった処理の方針などの最終可否の判断は、貴社に残ります。
今のシステムや書式は変えなくて構いません。freee、マネーフォワード、弥生会計、奉行クラウド、kintoneなど今お使いのツールのまま、紙・FAX・メール・Excel・基幹システムのままで動かします。ツールの操作・運用・保守は弊社が行うため、担当者の異動や退職で業務は止まりません。
業務のやり方が変わったときは変更を伺い、弊社が設計を更新します。月額の範囲で追随できる変更が大半で、工程が大きく変わる場合は改めて見積もります。契約を終えるときは、運用中に整理した工程・判断基準・例外の処理ルールを渡せます。特定のツールや弊社に依存しない形で設計しています。見積もりと同時に品質の基準と責任の分け方を示し、弊社は遂行の正確性を、貴社は情報の連携と最終可否の判断を持ちます。電話応対のように即時の応答が必須の業務や、貴社の経営判断そのものは引き受けません。
依頼してから動き出すまでは5つの段階で進みます。無料のご相談で業務の概要と困っている点を伺います。対象の業務が絞れていない段階でも構いません。次に1回60分のヒアリングで、実務の担当者に画面共有で今のやり方を見せていただきます。その翌営業日に、今かかっている工数と費用、導入後の月額を並べたお見積もりをお出しします。1つの業務から頼めます。2〜4週間のテスト運用で弊社が実際に処理し、貴社は結果に間違いがないかを確認します。その後、稼働を監視する本番運用に入ります。最短1ヶ月で本番運用を開始できます。貴社の作業は、今のやり方を画面共有で見せていただくことと、テスト運用の結果を確認いただくことの2つです。マニュアルや仕様書の作成はお願いしていません。完全自動化で引き受けるサービスの全体はAX BPOとはにまとめています。
よくある質問
Q. 業務ごと預けて自動化する場合の費用はいくらですか
月額10万円から(目安)です。月額には設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含み、業務の内容と件数により異なります。初期費用は原則かかりません。ヒアリングの翌営業日にお見積もりをお出ししますので、無料相談で承ります。
Q. 仕訳の推測ルールはそちらで作りますか
どのツールで仕訳を起こすか、ルールの設計と保守を弊社が持ちます。ヒアリングで今のやり方を見せていただき、それをもとに設計します。勘定科目や税区分の決まりといった処理の方針は貴社に決めていただきます。
Q. 勘定科目の判断はどこまで任せられますか
推測された勘定科目と税区分の確認と修正、登録の無い取引先の例外の処理は弊社が持ちます。処理の方針などの最終可否の判断は貴社に残ります。仕入税額控除の扱いや税区分などの税務の処理は、貴社と顧問の税理士に決めていただきます。
Q. 今使っている会計ソフトのまま頼めますか
今のシステムや書式は変えずにそのままお預かりします。freee、マネーフォワード、弥生会計、奉行クラウド、kintoneなど今お使いのツールのまま動かします。紙、メール、Excelのままでも構いません。
Q. 業務ごと預ける形で対応できないことはありますか
電話応対のように即時の応答が必須の業務と、貴社の経営判断そのものは引き受けていません。
監修
株式会社Generative Partners 代表取締役 黒﨑悠一
4社を創業し、2度のM&Aを経験。2021年に創業したWANDが東証プライム上場のファンコミュニケーションズのグループに入り、同社の執行役員を務めた。2026年にGenerative Partnersを創業し、9月にAX BPOの提供を始めた。
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