生成AIのPoC止まり。毎日の出力確認と例外を処理する担当者
執筆 AX BPO編集部監修 黒﨑悠一
本番で毎日の出力を確かめ、間違いや例外を処理し、変わったときに直す人を決めることで、本番に進む判断を出せます。弊社に業務ごと預ける場合、自動化の仕組みからこぼれる判断と例外は、専任スタッフが処理します。費用は月額10万円から(目安)で、設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含み、業務の内容と件数により異なります。
生成AIのPoC疲れとは
「PoCを繰り返しているうちに、プロジェクトのゴールがあいまいになり、いつまでも開発フェーズに進むことなく、コストと時間だけがかかってしまうおそれがあります。このような状態を「PoC疲れ」「PoC貧乏」といいます。」
出典: NTTドコモビジネス「PoCとは?」
新しい技術では、現場と意思決定を行う経営層やシステム開発者との認識のずれが生じることがあります。用語集は、防ぐポイントとして、取り掛かる前に目指すゴールを決めることを挙げています。解説記事は、目的の曖昧さや技術選定、既存システムとの連携を原因に挙げます。判断基準を先に決めることや小さく始めること、研修や体制づくりを解決策としています。
総務省の企業向け調査によると、日本において生成AIを積極的に使う方針か、使う領域を限定して使う方針と答えた割合の合計は68.9%で、大企業は74.0%、中小企業は58.1%です。何らかの業務で生成AIを利用している割合は日本において86.4%に上ります。
総務省の数字は「令和8年版 情報通信白書」(2025年度企業向け調査)より。「何らかの業務で利用している」は方針の設問で「わからない」と回答した対象を除いた割合です。PoCが本番に進んだかどうかを聞いた調査ではありません。
出力結果の精度に対する懸念
懸念されるリスクは「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が最も高く、次いで「出力結果の精度に問題がある」、「著作権等の権利を侵害する可能性がある」の順に続きます。日本の企業のリスク対策は「全社的な指針やガイドラインを整備している」が41.1%と最も高く、米国・ドイツ・中国では製品やサービス導入後の定期的な評価・検証を行う割合が日本より高い傾向にあります。本番の運用では、出力結果の確かめ方を先に決めておくことが前提になります。
企業が生成AIの利用により生じうる影響として「作業時間の短縮などによる業務の効率化」と答えた割合は61.6%です。全社横断的、各部署単位、個人業務単位で組織的に取り組んでいる割合は65.6%で、「組織的な取組はない」と答えた割合も27.0%を占めます。
組織的な取組の数字は「利用を禁止している」と回答した対象を除いた割合です。
PoCの検証と本番の作業の違い
弊社が読んだ解説記事では、本番の運用について「運用体制を整える」と書くか、監視や自動調整の技術を解説しており、毎日の作業を誰が持つかには触れていません。検証でできるかを確かめることと、本番で毎日続く作業は異なります。
| 項目 | PoCで確かめること | 本番で毎日続く作業 |
|---|---|---|
| 扱うデータ | 期間と件数を区切って選んだデータ | 毎日届くすべての書類やデータ |
| 出力の正しさ | 何割を正しく処理できるか | 間違った出力を見つけて直す |
| 想定外の入力 | 評価から外せる | 届いた日に処理する |
| 書式や手順の変化 | 期間中は条件を固定できる | 書式・業務のやり方・AIのモデルやツールの仕様が変わるたびに確かめ直す |
| 持つ人 | 検証の担当者(期間が決まっている) | 期限を決めずに続けて持つ人が要る |
弊社の整理であり、解説記事や白書の分類ではありません。
毎日の出力確認と直す作業の担当者
本番の運用に進むと、出力の確認と例外の処理が利用する部門の担当者の日常業務に加わります。
- 毎日の出力を確かめる作業は、検証の担当者から利用部門に移る
- 読めない書類や想定外の入力といった間違いや例外の処理も、利用部門に戻る
- 書式や業務のやり方、AIのモデルやツールの仕様が変わったときに直す作業は、作った人(社内の開発担当か開発会社)が持つ
作った人が異動したり、運用保守の契約が終わったりすると、直す人がいなくなります。この3つの作業を持つ人と、その人の時間を決めないまま本番に進むと、利用する部門に作業が残ります。
本番運用に進むための3つの方法
本番運用に進む方法は、社内で本番化する、開発会社に頼む、業務ごと預けるの3つに分かれます。
| 方法 | 毎日の出力を確かめる人 | 例外を処理する人 | 変わったときに直す人 | 社内に残る作業 | 合う場合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社内で本番化する | 利用する部門の担当者 | 利用する部門の担当者 | 社内の開発・運用の担当者 | 出力の確認、例外の処理、直し、ツールの利用料の管理 | AIを動かし続ける担当者を社内に置ける |
| 開発会社に本番開発を頼む | 利用する部門の担当者 | 利用する部門の担当者 | 開発会社(運用保守の契約の範囲) | 出力の確認、例外の処理、直しの依頼と受け入れの確認 | 仕様を決めて発注でき、出力の確認を社内で持てる |
| 業務ごと預けて自動化する | 弊社 | 弊社 | 弊社(設計の更新) | データの共有、成果物の受け取り、最終可否の判断 | 工程と判断基準を渡し、処理した結果を受け取りたい |
弊社の整理であり、実際の契約や体制によって分担は変わります。
AX BPOは、AIエージェントやRPAが処理し、例外まで弊社が引き受けて完全に自動化するサービスです。どのようなサービスかはAX BPOとはにまとめています。「AIを試したが、精度が業務の水準に届かなかった」という業務も対象です。工程と判断基準を棚卸しし、自動化に適した範囲を設計します。AIエージェント、RPA、iPaaS、GAS、VBA、Pythonを組み合わせて構築し、異常の検知、修正、マスタ更新、イレギュラーの処理まで引き受けます。稼働監視を含めて弊社が行います。Excel、kintone、Salesforce、Googleスプレッドシート、Gmail、Outlook、紙、FAX、基幹システムなど、今のシステムや書式は変えなくて構いません。
AIエージェントの外注と運用保守。精度の確認は誰が持つかで開発会社に依頼する場合を、業務改善が進まない。兼務で手が回らないときの進め方4つの比較で社内で進める場合と外注を比較しています。
品質の基準と責任の分け方は、弊社が遂行の正確性を、貴社が情報の連携と最終可否の判断を持ちます。業務のやり方が変わったときは変更を伺い、弊社が設計を更新します。月額の範囲で追随できる変更が大半で、工程が大きく変わる場合は改めて見積もります。
ご依頼から動き出すまでは5つの段階を踏みます。
- ご相談(無料): 対象の業務が絞れていない段階でも構いません
- ヒアリング(1回・60分): 実務の担当者に、画面共有で今のやり方を見せていただきます
- お見積もり(翌営業日): その業務に今かかっている工数と費用と、導入後の月額を並べてお出しします
- テスト運用(2〜4週間): 弊社が実際に処理し、貴社は結果に間違いがないかを確認します
- 本番運用: 稼働を監視し、業務のやり方が変わったときは設計を更新します
貴社の作業は、今のやり方を画面共有で見せていただくことと、テスト運用の結果を確かめていただくことの2つです。マニュアルや仕様書の作成はお願いしていません。ツールの操作・運用・保守は弊社が行うので、貴社の担当者にツールの操作・運用・保守は発生しません。最短1ヶ月で本番運用を開始できます。
やめる判断と書き出しておく項目
社内で方法を比べるために、検証を止めた業務について次の項目を書き出します。本番に進まず、検証をやめる判断もあります。やめる場合、試した業務は手作業などの今のやり方のまま残ります。
- PoCで試した業務の名前と、1か月の件数
- PoCで確かめた出力の正しさと、間違えた入力の種類
- 本番で毎日の出力を確かめる人と、その人に使える時間
- 例外(読めない書類・想定外の入力)が出たときに判断する人
- 書式や業務のやり方が変わったときに直す人
- 本番に進まない場合、その業務を今のやり方で続けられるか
弊社に預ける場合、今の検証で作ったプログラムやプロンプトを使い続けるか作り直すかは、業務ごとに判断します。運用中に整理した工程、判断基準、例外の処理ルールは、特定のツールや弊社に依存しない形にしており、契約を終えるときにお渡しできます。
よくある質問
Q. なぜPoCの検証を何度も繰り返すのですか
取り掛かる前に目指すゴールを決めていないと、ゴールがあいまいになり、いつまでも開発フェーズに進むことなく繰り返してしまいます。また、本番で毎日の出力を確かめる人、例外を処理する人、変わったときに直す人を決めないまま進めると、利用する部門に作業が残るため本番へ進む判断を出せません。
Q. 企業は生成AIのリスクにどう対策していますか
日本の企業は「全社的な指針やガイドラインを整備している」が41.1%と最も高くなっています。米国やドイツなどの他の3か国では、製品やサービスを導入した後に定期的な評価や検証を行う割合が日本より高い傾向にあります。
Q. 業務のやり方が変わったときは誰が直しますか
社内で本番化する場合や開発会社に頼む場合は、作った人が直します。弊社に業務ごと預ける場合は、弊社が設計を更新します。月額の範囲で追随できる変更が大半で、工程が大きく変わる場合は改めて見積もります。今の検証で作ったプログラムを使い続けるか作り直すかは、業務ごとに判断します。
Q. 業務ごと預ける場合に必要な作業は何ですか
貴社の作業は、今のやり方を画面共有で見せていただくことと、テスト運用の結果を確かめていただくことの2つです。マニュアルや仕様書を用意していただく必要はありません。テスト運用で結果に間違いがないかを確かめてから本番運用に進みます。
Q. 業務ごと預ける場合の費用目安はいくらですか
月額10万円から(目安)で、初期費用は原則かかりません。設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含み、業務の内容と件数により異なります。見積もりはヒアリングの翌営業日にお出しします。
自動化できる業務の診断から無料で承ります
対象の業務が絞れていない段階でも構いませんので、実務の担当者から画面共有で今のやり方を見せていただき、弊社がお預かりできるかを診断します。
監修
株式会社Generative Partners 代表取締役 黒﨑悠一
4社を創業し、2度のM&Aを経験。2021年に創業したWANDが東証プライム上場のファンコミュニケーションズのグループに入り、同社の執行役員を務めた。2026年にGenerative Partnersを創業し、9月にAX BPOの提供を始めた。
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