受発注の入力代行は例外処理を誰が持つか
執筆 AX BPO編集部監修 黒﨑悠一
受発注の入力を社内から出す方法は、入力を代行に出す、AI-OCRなどのツールを自社で入れる、弊社に業務ごと預ける、の3つに分かれます。どの方式でも、品番の読み替えや単価の違いといった例外を誰が持つかで社内に残る作業が決まります。弊社がお預かりする場合、費用は月額10万円から(目安)で、設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含み、業務の内容と件数により異なります。自動化の仕組みからこぼれる判断と例外は、専任スタッフが処理します。
受注入力で手が止まる例外とは
株式会社ハンモックの調査で、「受注業務をどのような方法で行っていますか」という設問に対し、FAXと答えた人は67%です。FAX、Eメール、電話で受注している人のうち、注文書の手入力に手間がかかると答えた人は60%です。
受注入力では、入力そのものだけでなく、作業の手が止まる例外が起きます。
- 取引先の品番・品名が自社の商品コードと違い、読み替えが要る
- マスタに無い品番、新しい取引先
- 注文書の単価が、自社の単価表や見積もりと違う
- 数量の単位(ケースとバラ)や桁の違い
- 希望の納期に出荷できるか、在庫があるかの確認と、欠品のときの返事
- 手書きで読めない、書式が取引先ごとに違う注文書
- 注文の変更・取り消し、同じ注文の重複
- 取引先への問い合わせ(何を確かめ、誰が電話やメールをするか)
どの方式を選んでも、この例外を誰が持つかを決めないと、社内に作業が残ります。
株式会社ハンモックの調査は、2023年3月6日〜同年3月7日に小売・卸売業(食品)の受注業務に携わる方106名を対象に行ったインターネット調査です。同社はFAXの受注を処理する製品を扱う会社です。「67%」は106名での割合、「60%」はFAX・Eメール・電話で受注している90人での割合です。
単価の違いや在庫欠品の確認作業
例外のなかでも、単価や在庫の確認が誰の作業になるかは、選ぶ方式によって変わります。単価の違い、在庫の確認と欠品の連絡、納期の確認は社内に残りやすい作業です。
入力を代行に出す場合、委託する範囲を入力だけにするか、在庫・納期の確認や得意先への回答まで含めるかで、社内に残る作業が変わります。
ツールを自社で入れる場合、設定や機能によって読み取りの多くを自動にできます。読み取った結果の確認と修正、マスタに無い品番や単価の違いの判断は社内の担当者が処理します。
社内に残る作業から3つの方式を比べる
どの方式を選んでも、例外を持つ人が誰になるかで社内に残る作業が決まります。
| 方式 | 入力する人 | 例外を持つ人 | 社内に残る作業 | 合う場合 |
|---|---|---|---|---|
| 入力を代行に出す | 委託先の担当者 | 委託した範囲は委託先、範囲の外は社内 | 委託する範囲を決めること、範囲の外の例外の判断、入力結果の確認 | 例外が少なく、入力の件数が多い |
| ツールを自社で入れる | ツールが読み取り、社内の担当者が確かめて登録 | 社内の担当者(ツールの変換で済む分を除く) | 読み取り結果の確認と修正、マスタに無い品番や単価の違いの判断、ツールの設定と直し | 書式がそろっていて、確かめる人が社内にいる |
| 業務ごと預ける | 弊社がツールを組み合わせて処理 | 弊社(例外処理・目視確認・修正・マスタ更新) | データの共有、成果物の受け取り、最終可否の判断 | 例外が多く、確かめる人や判断する人を社内に置けない |
代行の範囲は契約で決まり、ツールの機能は製品で違います。この表は一般の傾向を示した弊社の整理であり、個々のサービスや製品の評価ではありません。
入力を代行に出すときの業務範囲
入力を代行に出す場合、委託先のサービスによって引き受ける範囲が変わります。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)のサービスページは、受注業務を引き受ける範囲を次のように示しています。
「注文の受付から受注入力、納期回答、出荷指示、仕入先への発注、その他付随する業務処理を、BPOセンターにてお引き受けします。」
受注入力の中身として、商品コード、発送コードへの変換、受注データの生成、受注システムへの入力が挙げられています。在庫確認として、在庫確認、欠品処理、納期確認まで含めて委託できる先もあります。
同じページでは、「「まずは受注データの入力から」のように、小さく始めることも可能です。」とも案内されています。
入力を代行に出すときは、委託する範囲を決めることと、入力結果の確認が社内に残ります。委託の範囲の外で起きた例外は、社内に戻ってきます。
ツールを自社で入れたときの確認
AI-OCRなどのツールを自社で入れる場合、ツールの機能によって処理できる例外の範囲が変わります。PFUのコラムでは、認識率について「従来OCRでの認識率が80%だったのに対し、AI-OCRでは98%という結果が出ています」と書かれています。
読み取った内容の変換機能を持つツールもあります。LINE WORKS PaperOnは「マスターデータ変換機能」を持ち、取引先が注文書に書く品名や独自の品番を、自社の商品コードに変えることができます。
ツールを入れると、書式がそろっている注文書の読み取りの多くを自動にできます。ツールの変換機能で処理できないマスタに無い品番や単価の違いの判断と、ツールの設定と直しは、社内に残ります。
PFUの「98%」は、ベンダーが自社の基準の帳票で測った値(PFU基準帳票を用いた認識精度結果)です。
ツールで処理して人が仕上げる方式
AX BPOとは にまとめているように、弊社に業務ごと預ける完全自動化の方式では、受発注データの登録を弊社がお預かりします。業務に合わせてAIエージェント、OCR、RPA、iPaaS、GAS、VBA、Pythonなどを組み合わせて設計・構築します。
紙、FAX、メール、Excel、基幹システムといった今の形のまま使え、システムや書式は変えなくて済みます。基幹システムの改修も要りません。処理した後は、基幹システムへの入力やExcelの管理表など、今お使いの形で返します。
取引先ごとの書式の違いや判断が要る工程まで弊社が処理します。例外処理、目視確認、修正、マスタ更新まで引き受けます。例外が混ざる業務の扱いは RPAに向かない業務は誰が処理する?対象外になった後の行き先 に書いています。
見積もりと同時に品質の基準と責任の分け方を示します。弊社は遂行の正確性を担い、貴社には情報の連携と最終可否の判断をお願いします。依頼してから動き出すまでは、次の5段階です。
- ご相談(無料): 業務の概要と困っている点を伺います。対象の業務が絞れていない段階でも構いません
- ヒアリング(1回・60分): 実務の担当者に、画面共有で今のやり方を見せていただきます
- お見積もり(翌営業日): その業務に今かかっている工数と費用と、導入後の月額を並べてお出しします
- テスト運用(2〜4週間): 弊社が実際に処理し、貴社は結果に間違いがないかを確認します
- 本番運用: 稼働を監視し、業務のやり方が変わったときは設計を更新します
想定する件数の上限を見積もりのときに取り決め、その範囲は弊社の体制で吸収します。弊社がお預かりするため、貴社の担当者にツールの操作・運用・保守は発生しません。
貴社の作業は、今のやり方を画面共有で見せていただくことと、テスト運用の結果を確認いただくことの2つです。マニュアルや仕様書の作成はお願いしていません。最短1ヶ月で本番運用を開始できます。外注費用の全般については 業務自動化の外注費用。ロボット開発と運用保守の相場 に整理しています。
契約を終えるときは、運用中に整理した工程や判断基準、例外の処理ルールをお渡しできます。
決める前に社内で書き出しておくこと
自社で起きる例外や注文が届く経路を書き出しておくと、社内に残る作業を方式ごとに比べられます。
- 注文が届く経路(FAX・メール・Web・電話)と、それぞれの月の件数
- 取引先ごとの注文書の書式の数
- よく起きる例外と、そのとき誰が何を基準に判断しているか
- 入力の締め時刻と、出荷までの流れ
- 入力する先(販売管理・基幹システム・Excel)
よくある質問
Q. 入力を代行に出す場合の立ち上げ期間はどのくらいですか
委託先と委託する範囲によって変わります。一例として、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)のサービスページでは「内容により差がありますが、おおよそ2か月ほど準備期間をいただいております。」としています。
Q. 委託する範囲に在庫や納期の確認を含めることはできますか
委託先のサービスによって変わります。受注入力だけでなく、在庫確認、欠品処理、納期確認、納期回答まで範囲に含めて委託できる先もあります。
Q. 品番の読み替えや単価の違いはツールで処理できますか
取引先が注文書に書く独自の品番を、自社の商品コードに変える機能を持つツールもあります。単価の違いの判断やマスタに無い品番の処理は、社内に残りやすい作業です。
Q. 業務ごと預ける方式の費用は月額いくらからですか
月額10万円から(目安)です。この金額には設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含み、業務の内容と件数により異なります。初期費用は原則かかりません。
Q. 依頼する前にマニュアルや仕様書の作成は必要ですか
マニュアルや仕様書の作成はお願いしていません。実務の担当者に、画面共有で今のやり方を見せていただくことで業務を把握し、弊社が設計と構築を行います。
監修
株式会社Generative Partners 代表取締役 黒﨑悠一
4社を創業し、2度のM&Aを経験。2021年に創業したWANDが東証プライム上場のファンコミュニケーションズのグループに入り、同社の執行役員を務めた。2026年にGenerative Partnersを創業し、9月にAX BPOの提供を始めた。
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