RPAに向かない業務は誰が処理する?対象外になった後の行き先
手作業・一部RPA・業務ごと預ける場合の比較
執筆 AX BPO編集部監修 黒﨑悠一
RPAに向かない業務を対象から外したあと、その業務は誰かが処理し続けることになります。行き先は、手作業で続ける、定型の工程だけをRPAにする、業務ごとお預かりして完全自動化する(弊社のAX BPO、詳しくはAX BPOとは)の3つです。AX BPOは月額10万円から(目安)で、設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含みます(業務の内容と件数により異なります)。自動化の仕組みからこぼれる判断と例外は、専任スタッフが処理します。
RPAに向かない業務の5つの特徴と選び方
RPAに向かない業務の特徴として、NTT東日本のコラムが挙げる5つを紹介します。
| 向かない業務の特徴 | NTT東日本のコラムの説明(原文) |
|---|---|
| 判断が必要な業務 | 「業務を遂行するその都度で状況が異なり、毎回判断が必要な業務にRPAは向いていません。」 |
| 例外が多い業務 | 「例外が多く発生する場合は、すべてを組み込むのは不可能でしょう。」 |
| 複雑な処理が必要な業務 | 「多くのシステムをまたいだり、扱う画面や入力する項目が多い業務」 |
| ルール変更が多い業務 | 「頻繁にルールや仕様が変わるようであれば、RPAには向いていません。」 |
| パソコン上で完結しない業務 | 「書類のスキャン」「USBメモリーを挿す」「ボタンを押す」 |
同コラムは、判断が必要な業務の例として「業務によって都度処理を変えなければならない業務」「クライアントや顧客との関係性の判断」「電子化したデータの文字が正しいかどうかの判断」の3つを挙げています。同コラムは、RPAはマニュアルが作成できるような、判断基準が明確にある業務に適していると書いています。
同コラムは、定型業務でも例外が発生すれば動作は止まると書いています。例外が発生した際にその都度組み込めば次回からは止まらずに進みますが、例外が多く発生する場合は、すべてを組み込むのは不可能でしょう。ルール変更が多い業務についても、どんなに些細でも作業フローに変更があった場合は、作成したロボットの設定を変えなければならないと書いています。
NTT東日本のコラムは、判断が必要な業務、例外が多い業務、ルール変更が多い業務などを、向かない業務として挙げています。RoboTANGOの記事は、向かない仕事として「企画・計画すること」「クリエイティブなこと」「人の目で見て確認すること」「応対業務」の4つの分類を挙げています。お名前.comの記事は、できないことの1つとして、手書き文字を正確に読み取ることが難しい点を挙げています。
出典: NTT東日本のコラム(2026年3月25日更新)、RoboTANGO「RPAに向いている業務とできない業務の違いは何か?」、お名前.com「RPAにできること・できないこと|対象業務を選ぶ際の注意点も解説」
外した業務は誰が処理するのか
向かない業務をRPAから外すと、その業務は誰かが処理し続けます。
業務は、1つの業務の中で工程ごとに見ます。1つの業務に、手順が決まった工程と、判断が要る工程が混ざることが多いです。NTT東日本のコラムが挙げる5つを問いにした弊社の整理として、次の5つを業務の工程ごとに確かめます。
- 毎回、状況に応じた判断が要るか
- 例外が多く、その都度の処理が要るか
- 多くのシステムをまたぐ、または画面や入力項目が多いか
- ルールや仕様が頻繁に変わるか
- パソコンの外で行う操作(書類のスキャンなど)が含まれるか
弊社の整理では、1つでも当てはまる工程は、RPAだけでは自動化しにくい工程として切り分けます。向かないと分かった業務、または向かない工程が混ざる業務の行き先は3つです。
| 行き先 | 自動化するもの | 社内に残る作業 |
|---|---|---|
| RPAに載せず、手作業で続ける | なし | 業務のすべて |
| 向かない工程を切り分け、定型の工程だけをRPAにする | 定型の工程 | 判断が要る件と例外の処理、ロボットの構築と保守、結果の確認 |
| 業務ごと預ける | 業務ごと | データを渡すことと、成果物を受け取ること、最終可否の判断 |
行き先1:今の担当者が手作業で続ける
RPAに載せず、社内の担当者が手作業で続ける行き先です。自動化するものはなく、業務のすべてが社内に残ります。
行き先2:定型だけをRPAにする
向かない工程を切り分け、定型の工程だけをRPAにする行き先です。手順が決まった定型の工程はRPAが処理します。
判断が要る件と例外の処理、結果の確認は、社内に残ります。ロボットの構築と保守も社内に残ります。画面や帳票が変わったときは、社内の担当者がロボットを修正します。RPAの保守の外注については、RPAの保守外注で残る業務とはで比べています。
行き先3:業務ごと預ける
業務ごと預ける行き先です。弊社がお預かりする場合、業務の分解と範囲の設計、技術の選定と構築を行います。AIエージェント・RPA・iPaaS・GAS・VBA・Pythonを組み合わせて設計します。
運用保守と、異常の検知、修正、マスタ更新、イレギュラーの処理といった例外の処理と目視確認も引き受けます。稼働を監視し、定期点検を行い、業務のやり方が変わったときは設計を更新します。納品は、Excel・PowerPoint・基幹システムへの入力など必要な形で返します。
| 工程 | RPAだけで自動化する場合 | 業務ごと預ける場合(AX BPO) |
|---|---|---|
| 手順が決まった定型の工程 | RPAが処理する。ロボットの構築と保守は社内 | 弊社が自動化して処理する |
| 判断が要る件・例外 | 社内の担当者が処理する | 弊社が処理する |
| 画面や帳票が変わったときの直し | 社内の担当者がロボットを修正する | 弊社が設計を更新する |
| 結果の確認 | 社内の担当者が確認する | 弊社が確認する。最終可否の判断は貴社が行う |
業務は継続し、目視確認・修正・マスタ更新まで弊社が引き受けます。社内に残るのは、データを渡すことと、成果物を受け取ること、最終可否の判断です。
調査・判断・文書作成を伴う業務も対象になります。すでにRPAを入れている場合、使い続けるか作り直すかは、業務ごとに判断します。貴社の環境・ツール・フォーマットは変えません。1つの業務から頼め、初期費用は原則かかりません。
引き受けないものもあります。貴社の経営判断そのもの、電話応対のように即時の応答が必須の業務、利用規約が自動処理を禁じている情報源の扱いです。利用規約が禁じている情報源の工程は弊社が手作業で担当し、業務全体は止めません。
個人情報や社外秘を含む業務もお預かりします。NDA、個人情報の取扱いに関する覚書、外部AIサービスへ投入する情報の範囲の3点を書面で取り決めます。
向いている業務でも例外と変更で止まる原因
日立ソリューションズのコラムによると、RPAを利用していくなかで、「例外」と「変更」が原因のトラブルは「つきもの」です。
例外には、RPAがインストールされたパソコンのハードウェアが原因で発生している場合と、RPAが操作対象とするアプリケーションなどのソフトウェアが原因で発生している場合があります。画面のボタンの仕様が変わる、ダウンロードするファイルの拡張子が変わるといった例が挙げられます。
変更は、業務手順または成果物の変更です。データの取得元が基幹システムからクラウドシステムに替わる、集計表に新しい項目が加わるといった例があります。
自動化ツールの導入では、定型は自動化できても例外で停止し、確認と修正は利用者側に残ります。キーマンズネットの調査によると、RPAを導入済みの企業の回答者のうち、効果が想定を下回ったと回答したのは21.4%です。効果が想定を下回ったとする回答者からは、次の声が挙がっています。
- 「業務の一部しか自動化できない。」
- 「人間の判断が必要な入力が多いため」
- 「ロボットがよくエラーで停止する。その度に開発依頼先に修正を依頼し、業務が停止する。また、担当者の時間が取られる」
- 「結局確認作業やエラーなど業務量が増えてしまった」
- 「システムの画面のIN/OUT処理があるが、画面変更に合わせてRPAの保守が必要。」
出典: 日立ソリューションズ「RPAに起こりがちなエラーは『例外』と『変更』」、キーマンズネット「削減時間と効果は比例しない? RPAの不都合な真実」(2023年9月26日。有効回答数606件)
対象業務が未定での相談の進め方
依頼してから動き出すまでの5段階を紹介します。対象の業務が絞れていない段階でも構いません。まずはご相談で、業務の概要と困っている点を伺います。引き受けられる業務かどうかは、ご相談の中で確かめます。
次に、1回60分のヒアリングを行います。実務の担当者に、画面共有で今のやり方を見せていただきます。ヒアリングの翌営業日に、その業務に今かかっている工数と費用と、導入後の月額を並べてお見積もりをお出しします。費用の考え方は、業務自動化の外注費用で方式ごとに比べています。
その後、2〜4週間のテスト運用を行います。弊社が実際に処理し、貴社は結果に間違いがないかを確認します。問題がなければ本番運用に進み、稼働を監視します。
貴社の作業は、今のやり方を画面共有で見せていただくことと、テスト運用の結果を確認いただくことの2つです。マニュアルや仕様書の作成はお願いしていません。
よくある質問
Q. RPAに向かない業務にはどのような特徴がありますか?
NTT東日本のコラムは、判断が必要な業務、例外が多い業務、複雑な処理が必要な業務、ルール変更が多い業務、パソコン上で完結しない業務の5つを挙げています。
Q. 業務の中に、手順が決まった工程と判断が要る工程が混ざっているときはどうしますか?
向かない工程を切り分け定型の工程だけをRPAにする方法と、業務ごと預ける方法があります。1つでも当てはまる工程は、RPAだけでは自動化しにくい工程として切り分けます。
Q. 向いていると判断してRPAに載せた業務が、後から止まるのはなぜですか?
「例外」と「変更」が原因です。画面のボタンの仕様が変わるといったソフトウェアの例外や、データの取得元が替わるといった業務手順の変更が原因のトラブルは「つきもの」と日立ソリューションズのコラムが書いています。
Q. RPAの対象から外した業務は、誰が処理するのでしょうか?
RPAに載せず社内の担当者が手作業で続ける、向かない工程を切り分け定型の工程だけをRPAにする、業務ごと預ける、の3つの行き先があります。手作業で続けるか切り分ける場合、判断や例外の処理は社内に残ります。
Q. 対象業務が絞れていない段階でも相談できますか?
対象の業務が絞れていない段階でも構いません。ご相談とヒアリングを通じて、自動化できる業務を確かめます。その業務に今かかっている工数と費用と、導入後の月額を並べてお出しします。
監修
株式会社Generative Partners 代表取締役 黒﨑悠一
4社を創業し、2度のM&Aを経験。2021年に創業したWANDが東証プライム上場のファンコミュニケーションズのグループに入り、同社の執行役員を務めた。2026年にGenerative Partnersを創業し、9月にAX BPOの提供を始めた。
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