RPA乗り換え・Power Automate移行の仕分けと行き先
執筆 AX BPO編集部監修 黒﨑悠一
RPAの移行では、すべてのロボットを移す前に、そのまま移す・作り直す・移さないの3つに仕分けます。移さないロボットの業務を弊社に完全自動化して預ける場合の費用は、設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含み、月額10万円から(目安)です。金額は業務の内容と件数により異なります。自動化の仕組みからこぼれる判断と例外は、専任スタッフが処理します。
移行前の全ロボットの仕分け基準
RPAの乗り換えを考えるきっかけは、想定した業務が自動化できない、費用が見合わない、運用に詳しい社員が要る、作った人がいなくて直せないという理由に分かれます。社内で「Microsoft 365 に入っている Power Automate にそろえる」と決まることもあります。
全ロボットを移そうとすると、移行の工数も移行先での保守も、すべて抱え直すことになります。Aurant Technologies「UiPath から Power Automate への移行|BOT棚卸しと再実装の優先度付け」にも「既存のUiPathプロジェクトをすべてPower Automateへ移行しようとするのは、非効率なアプローチです。」とあります。
移行の前に、ロボットを1本ずつ3つに仕分けます。
| 仕分け | 当てはまるロボット | 移行で行うこと |
|---|---|---|
| そのまま移す | 判断の要らない定型の処理で、よく動き、中身が分かっている | 移行ツールで移し、残った作業を仕上げて動かす |
| 作り直す | 画面の操作が多い、移植しても安定しない | 業務のやり方から組み直す |
| 移さない | 年に数回しか動かない、人の判断と例外が多くて止まりがち、作った人がいない | 手作業に戻すか、業務ごと預ける |
この表は出典のない弊社の整理です。
仕分けのために、ロボットを1本ずつ確かめます。
- 何の業務を処理しているか
- どのくらいの頻度で動くか
- どのくらいの頻度で止まり、止まったら誰がどう直しているか
- 人の判断と例外が混ざる工程があるか
- 作った人と直せる人が社内にいるか
- 画面の操作が中心か
- 無人で動かしているか(移行先で Process のボットが要るか)
そのまま移せる業務の条件
判断の要らない定型の処理で、よく動き、中身が分かっているロボットは、そのまま移行します。
MicrosoftのAutomation Kit for Power Platform「RPA移行」が示す移行開発者の進め方は、評価と計画から始まり、マイグレート、ビルドのファイナライズを経て展開プロセスへと至る4段階です。最初の段階では既存の自動化投資の無料スキャンから始まります。
移行ツールで移した後にも作業が残ります。同ページには「移行開発者が確認および更新する必要があるアクションには、残りの作業を簡単に識別できるように TODO コメントとしてマークされます。」と書かれています。残った作業を仕上げてから動かします。
移行先のPower Automateの価格(2026年10月時点、年払い、税抜)を挙げます。
- Power Automate Premium: ¥2,248 ユーザー/月相当。クラウド フローと、アテンド型デスクトップ フロー(人がパソコンの前にいて動かす形)
- Power Automate Process: ¥22,488 ボット/月相当。クラウド フローと、非アテンド型デスクトップ フロー(無人で動かす形)
- Power Automate Hosted Process: ¥32,233 ボット/月相当。Process の機能に加え、Microsoft がホストする仮想マシン
公式の価格ページに「マシン上でデスクトップ フロー実行を並列で行うには、複数のボットが必要です。」とあるように、今のRPAで無人のロボットを何台並べて動かしているかが、移行先で要るボットの数に関わります。非アテンド型モードの場合、プロセッサには4つ以上のコアが必要です。
作り直しが必要になるロボット
画面の操作が多いロボットや、移植しても安定しないロボットは、業務のやり方から組み直します。Aurant Technologies「WinActor vs Power Automate比較2026|国内RPAとMicrosoft選定基準」にも、WinActorから移す場合について「移植の際は、フローそのものを再設計(リデザイン)する必要があります。」とあります。
作り直しの際には、デスクトップ用Power Automateの前提条件と制限を確かめます。Microsoft Learnによると、1回のデスクトップ フロー実行でログに記録できるアクションの数は10,000に制限されています。追加のアクションは実行されますが、ログには記録されません。
同ページには「デスクトップ用 Power Automate は完全に下位互換性があります。 ただし、上位互換性は保証されません。」とも記されています。
移さずに手作業へ戻す業務
年に数回しか動かないロボットや、人の判断と例外が多くて止まりがちなロボット、作った人がいないロボットは、移行の対象から外します。上位の記事にも、動く頻度の低いロボットを移行の対象から外すよう勧めるものがあります。
手作業に戻すのが合うのは、年に数回しか動かず、判断の要らない短い作業で、社内に手を動かせる人がいる場合です。
止まったときの復旧は誰の仕事か
移行先でも、判断と例外の工程は残ります。Aurant Technologies「WinActor vs Power Automate比較2026|国内RPAとMicrosoft選定基準」は「システムのポップアップやエラーが発生した際、誰がどのようにリカバリーするか?」と問いを挙げています。
移すロボットや作り直すロボットについても、止まった件の処理は社内に残ります。詳しくは Power Automateの限界。残った例外処理は誰の仕事か に書いています。
手作業に戻した業務の行き先
移さないロボットの業務の行き先は、手作業に戻すか、業務ごと預けるかの2つです。
| 行き先 | 判断と例外を処理する人 | 社内に残る作業 |
|---|---|---|
| 手作業に戻す | 社内の担当者 | 毎回の作業、判断と例外の処理、手順の引き継ぎ |
| 業務ごと預ける(AX BPO) | 弊社 | データの共有、成果物の受け取り、社内の権限が要る判断の確認 |
手作業に戻した場合、毎回の作業と判断と例外の処理が社内の担当者に残ります。弊社が読んだ範囲では、上位の記事は手動に戻すとまでは書きますが、戻した作業を誰が処理し続けるかは書いていません。
業務ごとお預かりする場合の費用
移さないロボットの業務を弊社にお預かりする場合、業務に合わせてAIエージェントやRPAなどを組み合わせて設計・構築し、判断と例外の処理、運用まで弊社が引き受けます。今のロボットを使い続けるか作り直すかは、業務ごとに判断します。
業務のやり方が変わったときの設計の更新と稼働の監視も弊社が行うため、担当者の異動や退職で業務は止まりません。ツールの操作や保守は弊社が行うので、貴社の担当者に作業は発生しません。今のシステムや書式は変えなくて済みます。
預けた業務は移行の対象から外れます。引き受けないものは、電話応対のように即時の応答が要る業務です。
依頼してから動き出すまで、5段階の工程を踏みます。
- ご相談(無料): 業務の概要と困っている点を伺います。対象の業務が絞れていない段階でも構いません
- ヒアリング(1回・60分): 実務の担当者に、画面共有で今のやり方を見せていただきます
- お見積もり(翌営業日): その業務に今かかっている工数と費用と、導入後の月額を並べてお出しします
- テスト運用(2〜4週間): 弊社が実際に処理し、貴社は結果に間違いがないかを確認します
- 本番運用: 稼働を監視し、業務のやり方が変わったときは設計を更新します
貴社の作業は、今のやり方を画面共有で見せていただくことと、テスト運用の結果を確認いただくことの2つです。マニュアルや仕様書の作成はお願いしていません。ヒアリングから最短1ヶ月で本番運用に入れます。
費用は月額10万円から(目安)です。金額は業務の内容と件数により異なります。設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を月額に含みます。仕組みは AX BPOとは にまとめています。
よくある質問
Q. 移行ツールの変換だけで動くか
移行ツールで移した後にも、確認して残りの作業を仕上げる工程があります。
Q. Windows Homeでクラウドから起動できるか
Windows 10 HomeおよびWindows 11 Homeでは、デスクトップ フローを作って監視はできますが、クラウドからデスクトップ フローをトリガーすることはできません。
Q. 導入初期にかかる費用はいくらか
初期費用は原則かかりません。お見積もりはヒアリングの翌営業日にお出しします。
Q. 運用保守は月額に含まれるか
含まれます。設計・構築、ツールの利用料、運用保守、判断と例外の処理を含みます。
Q. ロボットが止まったときはどうなるか
社内で移した場合や手作業に戻した場合は、止まった件の処理や判断と例外の処理が社内の担当者に残ります。業務ごと預けた場合は、判断と例外の処理を弊社が引き受けます。
監修
株式会社Generative Partners 代表取締役 黒﨑悠一
4社を創業し、2度のM&Aを経験。2021年に創業したWANDが東証プライム上場のファンコミュニケーションズのグループに入り、同社の執行役員を務めた。2026年にGenerative Partnersを創業し、9月にAX BPOの提供を始めた。
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